私って、男運がないと思うんです

陽さんのイメージ通り
生活感があまりない部屋を見渡しながら
メイクを整えようと入った洗面所で
凍り付いてしまった。

メイク落としと化粧水が並んでいらっしゃる。
しかもドラッグストアで買うようなものじゃなく、ちゃんとした百貨店にいかないと買えないようなやつ。


「彼女、いるんじゃん」


あんなすごい人だし、森さんの友達だし
別に何かをすごく期待していたわけではないけど
幸せな気だるさから一気に引き戻され
やっぱりそういうことだったんだな、と落ち込んでる自分がいた。


「もう、ほんとにしばらく男はいいや」


そう呟きながら、鍵をポストに落とした。



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