声にできない“アイシテル”
「この子が俺の彼女。
 大野 チカちゃんだよ」


 チカが再び頭を下げる。

 姿勢を戻したチカが俺に向かって口を動かす。


「彼女が“今日は招待してくださって、ありがとうございます”って言ってる」



 俺とチカのやり取りに、2人の表情がほんの少し曇った。

「晃、チカさんは風邪でも引いているのか?」


「ううん。
 元気だけど・・・」


 俺は2人が妙な顔つきになった理由に思い当たった。


 やたらなことを詮索されないうちに、先に俺から説明をする。

「実はさ、彼女話が出来ないんだ。
 病気が原因で声帯を取ってしまったから」



 叔父さんと叔母さんがハッと息を飲んだのが分かった。




 それを見たチカの体が硬直して。

 申し訳なさそうに、彼女は少しうつむいてしまった。



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