絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
好奇心を丸出しにして聞いてくる中尾君。


あたしの中で不快感と悲しみが膨れ上がって来るのがわかった。


何も知らないくせに。


<mother>の本性だって知らなかったくせに。


「なぁ、田之上はどうやって死んでいったんだよ?」


ニヤニヤしながら質問を続ける中尾君。


他のクラスメートたちは何も言わず、ただあたしと中尾君とを交互に見ている。


「……うるさい」


「あ? なんだよ聞こえねぇよ」


「うるさいっつってんだよ!!」


あたしは今まで出したことのないような声でそう怒鳴っていた。


「翔吾がどうだろうと、お前には関係ねぇだろうが!!」


目が吊り上がり、自分の感情が制御できない。


「……朱里?」


彩美の声が聞こえてきて、ハッと振り向いた。


彩美は首をかしげてあたしを見ている。


「彩美……」


「朱里、大丈夫? 翔吾君、黙って転校しちゃうなんてひどいよね」


そう言い、顔をしかめる彩美。


「何言ってんだよ守田。田之上の事は世田が殺したんだ」


中尾君が言う。


しかし彩美は左右に首を振った。


「違うよ、翔吾君は転校したの。みんなの家にも連絡網が回って来たでしょ」


呆れたような口調でそう言う彩美。


あたしの事をかばってくれているのかと思っていたが、なんだか様子がおかしい。


「ほらみんな、ちゃんと席につかなきゃ先生が来ちゃうよ」


彩美はそう言い、困ったようにほほ笑んだのだ。


「彩美……?」


「朱里、また課題を忘れてきたの? しょうがないなぁ、あたしのノート見せてあげるよ」


そう言い、彩美は自分のノートを探し始めたのだ。
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