絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
「なんだよ、演技か? それとも狂っちまったか?」


中尾君がそう言い、ゲラゲラと笑う。


あたしは慌てて彩美を止めた。


「彩美、ここにノートも教科書もないよ」


「え? どうして? あたし忘れてきちゃったのかな?」


体育館の中をオロオロとした表情で探しまわる彩美。


「彩美、しっかりして!!」


彩美の肩を掴んで強く揺さぶる。


彩美は焦点の合っていない目でぼんやりと空中を眺めている。


「聞いて彩美。あたしも一緒だよ。あたしも人を殺したの、この手で」


そう言い、真っ赤な血に染まった手を彩美に見せた。


彩美はぼんやりとした目であたしの手を見つめる。


「やだなぁ朱里。そんなに汚れてどうしたの? 泥だらけじゃん」


彩美はボソボソと呟くように言うと、ポケットからハンカチを取り出してあたしの手に乗せた。


「彩美……」


「大丈夫だよ朱里、あたしが一緒にいてあげるからね」


彩美はそう言い、いつもと変わらない笑顔を見せたの合った。
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