絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
☆☆☆

それからあたしは彩美と2人で他愛のない会話を楽しんでいた。


彩美の記憶はバトルが始まる前日で止まっていて、テレビのニュースや流行の曲の話題ばかりを口にした。


周囲はそんな彩美を見て憐れんだ表情を浮かべたが、今のあたしには新鮮だった。


バトル以外の事を考えたことで、頭の中が一旦リセットされる。


そうだ、相手を壁際まで追い詰めよう。


あたしは彩美の話に相槌を打ちながらそう考えていた。


あたしは最初からシラフのままバトルに望む。


その利点を生かして、計画的に動けばいい。


壁際に追い詰める事ができれば、容赦なく攻撃をくわえればいい。


逃げ道のない相手はすぐにしゃがみ込む事になるだろう。


その隙をついて馬乗りになり、首をしめるのだ。


うまくいくかどうかわからないが、何度も何度も頭の中でシュミレーションをする。


相変わらず心臓は鋼のように打ち続けているが、あたしは「大丈夫だから」と、自分に言い聞かせていたのだった。
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