絶叫脱出ゲーム③～クラスカースト～

☆☆☆

4回目のバトルが終ってから、亜弥ちゃんに声をかける生徒は誰もいなかった。


亜弥ちゃんをいじめていたグループの子たちも、今は青ざめて近づこうともしない。


たった数分間のバトルで亜弥ちゃんは＜ｍｏｔｈｅｒ＞を支配する男からの評価と、クラス内での絶対的な立場を手に入れたのだ。


「なぁ、朱里」


そう声をかけられて振り向くとマキヤが心配そうな表情であたしを見ていた。


「なに？」


「大丈夫か？」


「あたしは大丈夫だよ」


そう答えて、頷く。


この状況でなにが大丈夫なのかわからないが、とりあえず成人状態は保てている。


「そっか……」


マキヤはそう言い、あたしの隣に座った。


「彩美は？」


そう聞かれて「トイレに行ってる」と、答えた。


倉庫の中は混雑していることだろう。


「だよな。俺も吐き気がする」


「仕方ないよ、亜弥ちゃんすごかったもん」


あたしは部屋が掃除されていく様子を見た。


梨穂ちゃんの血がどんどん拭き取られていき、そこで死んだと言う形跡が消されていく。