絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
バトルの負けた人間は<mother>にとって不必要な人間だ。


ステージに吊るされている死体も、どうやって処分されるかわからない。


「あのさ、朱里」


突然マキヤがあたしの手を握りしめてきたので、驚いてマキヤへ視線を戻した。


マキヤは真剣な表情であたしを見ている。


「どうしたの?」


マキヤに手を握られた事なんて、今まで1度もない。


その手はゴツゴツとして大きくて、そして驚くほど冷たかった。


「こんな時に言うのは嫌なんだけど……」


そういうマキヤは見る見るうちに真っ赤な顔になっていく。


それを見た瞬間、あたしはマキヤの次の言葉がわかってしまった。


「俺、ずっと朱里の事が好きだった」


勇気を出して一気にそう言ったマキヤ。


嬉しさよりもなによりも、驚きの方が大きかった。


マキヤとは仲がよかったけれど、そんなそぶりを見たことは今まで一度もなかった。


ただのいい男友達だと、ずっと思っていた。
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