恋の処方箋SOS
09
「白石」
「隣いいですか?」
「ああ」
少し感覚を開けて座り直し息を吐いた
タバコの煙を見つめながら白石が嘆息をつく
「お恥ずかしながら失敗しちゃいました」
意味がわからずに虚空を見つめながら俺は言う
「みたいだな」
「真幌はね最期なのに笑ってましたよ、やっと会えたってやっぱりあなたが圭ちゃんなんだったんだねって
それで躊躇っちゃったんです、おかしな話ですよね」
「楽になったかよ?」
「楽になんかなりませんよ、むしろ逆です」
「だろうな」
「龍太郎先生、一本ください」
タバコに火をつけて白石に手渡した
「ああやっばり僕には苦い」
俺は2本めのタバコに火をつけて煙を吐き出した
「杏子のこと諦めないから」
「僕は明日には留置場に行きます、殺人罪だそうです」
坦々と話す白石が一瞬、怖く感じた
「あっそ」
「驚かないんですね」
「別に」
タバコを消して立ち上がった俺は激痛に顔をしかめた
それが傷の痛みなのかいまおきたことなのかがわからなかった
「あなたには止めてほしかったのに、なんで・・・
サヨウナラ龍太郎先生」
そう聞こえた後に乾いた音がして振り返ると白石が倒れていた
慌てて止血をするが到底おいつかない
ヤバイ
俺は吠えるように大声を張り上げた
「誰か来てくれ」
その間にも血が手を濡らし床を濡らしていく
看護婦が慌てて駆けつけて先生を呼んできますと走っていく
俺自身も意識が朦朧としていた、傷のせいか理解できない
「龍太郎おまえなにしてんだ」
「おせぇよ・・・」
俺は血溜まりの中に倒れた・・・気づいたらやたら眩しくて目をあけようか迷った
「龍太郎」
名前を呼ばれた直後に頬に衝撃がはしる
「っ?」
「バカなにやってんだおまえは!!」
内海が怒ってる?俺なんかやらかしたか?
「はあ?」
「ナイフだよ脾臓をそれてたから良かったが一歩間違えたら死んでたぞ」
「白石は?」
「助かるかは五分五分だ」
俺は目を背けながら訊いた
「ライト眩しい」
「手術室だからな当たり前だ」
俺は近くにあったナイフを見つめる、刃渡りは包丁ぐらいだが切れ味はありそうだ
「内海、それがナイフ?」
「そうだ」
ライトを消しながら内海が言う
「病室には戻れないのか?」
「一時間様子を見てからだ」
「様子?」
「輸血をしたからな拒絶反応がおこるかもしれない、寒くないか?」
「ああ」
とりあえず龍太郎に薄手のタオルケットを手渡した
「なにかあったら呼べいいな?」
「内海すこしいてくれないか?」
「女かよおまえは」
色々ありすぎて疲れていた俺はいつの間にか眠りについていた
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