恋の処方箋SOS
体を触られる感触がして慌てて目を開けると佐和子さんが包帯を替えてくれていた
「龍太郎、大丈夫?」
「まあな」
「魘されてたよ?そろそろ病室に戻ろうか」
俺は病室に戻って手を見つめた、まだ白石の血がついているようで・・・
考えるのを手放してまた眠りについた
浅い眠りのせいかすぐに朝が来た、だがなにもしたくない
体がダルすぎる
また眠りにつくとすぐにデカイ声がして腕に鈍い痛みがはしる
見れば点滴が刺さっていた
「比嘉先生きこえます?いま抗生剤と痛み止めの薬を点滴しましたから」
どうやらダルいのは傷が炎症をおこし熱を生じてるせいだと知った
「なにもするな、触るな俺に」
「えっ?比嘉先生?」
俺も自分で言ったにしてはあまりに冷たく坦々としていることに気づく
「なんでもねえよ」
「薬あまり減ってないですね、ダメですよちゃんと飲まなきゃ」
俺は手近にあったペットボトルを壁に投げつけた
「出てけ」
「内海先生に頼まれてるので」
彼はさらりと言い床に落ちたペットボトルをゴミ箱に捨てて笑う
「食事もあまりとっていないみたいですね」
彼はなにやらカルテに書き込みながらため息をついた
「うるさいんだよ」
「内海先生からガキのように癇癪をおこしやすいとききました」
逆撫でしたいのだろうか気づけば俺は相手の首を絞めながら宙吊りにしていた
「黙れいいな?」
すごんだつもりが相手はこの状況でも意に介さない
「暴力じゃなにも解決しない」
俺は乱暴に放すとベッドにあがった
「おまえ名前は?」
「城ヶ崎です、お会いするのは初めてですね」
「だな、俺はおまえがキライだ」
「僕もです比嘉先生」
一触即発な空気を打ち破ったのは憂鬱な内海の声
あくびを噛み殺してから
「龍太郎いいかげんにしろ、もう問題はこりごりだ
白石の後任の城ヶ崎だ」
白石の公認?つまりはこいつも精神科医か
「内海どういうつもりだ?」
「おまえの担当だというより俺は忙しい」
「イヤだ」
「上からの命令だ」
ぎりっと俺は奥歯を噛み内海を睨み付けた
「ってことなんで僕の命令には従っていただきます
よろしくお願いしますね龍太郎先生」
にこりと笑うと白石に少し似ていた
「龍太郎おとなしくしていろよ?」
俺は内海を引き寄せてわざと舌を突き入れるキスをしてニヤリと笑う
「これで忘れないよな内海?」
「忘れたい」
「俺を売ったこと後悔させてやるよ」
                
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