黒胡椒もお砂糖も
この二人、泣いたり笑ったり叫んだりで忙しいやっちゃ、とか思われてるんだろうなあ~・・・。
「いいじゃん美香!何を迷うことがあるのよ!?」
要らないなら是非私に紹介してくれ!割り箸を放り投げて陶子がそういうのに、うん、紹介しようか?と聞くと、彼女は呆れた顔をしてみせた。
「・・・何でそんなに冷めてるのよ。嬉しくないの?」
「ううーん・・・。嬉しいとは思うんだけど、まだ恋愛出来る状態じゃないんだと思うのよね・・・。誠二のことが好きだった。いきなりの別れで、まだ私の中で納得出来てないっていうか・・・修羅場がなかったし、話し合いもちゃんとした気がしなくて・・・」
隣で盛大なため息が聞こえる。
「過去を処理出来てないから先へ進めないってことなの?あーあ、勿体無い。あんた判ってる?30歳過ぎて美形から好かれるなんて宇宙から降って来た隕石に衝突するくらいない確率なのよ?しかも、マトモな男なんだったら。・・・マトモなんでしょ、この美形は?」
首を傾げて広報をバシバシと叩く。
私は口に大根を突っ込みながら答えた。
「知らないわよ、興味がなかったから、フルネームすらこの前初めて知ったもの。でも彼の幼馴染の話では、多少好みにうるさいくらいの情報しか貰ってないけど」
「具体的には?」
黒胡椒と砂糖の話をした。陶子はまた広報をカウンターにバシバシ打ち付けながら言う。
「全然大丈夫な範囲じゃない!そんなのオッケーよ、お茶はマテ茶じゃないと飲めないとかなら困って頭抱えるとこだけど」
どうしてマテ茶なのだ。今ダイエット中?と一応突っ込むとうるさいわね!と広報で叩かれた。