オフィスの野獣と巻き込まれOL

『君とは、結婚できない。
近い将来、別れることになると思う』

そう思ってるんだろうなって、うすうす気が付いていた。

分かってたから、私から義彦君に、わがままを言う事はなかった。

彼といるのは楽しかったし。

この会社に受け入れてくれた恩をは、痛いほど感じている。

彼に受けた恩を、この手で少しでも返したいと思っていた。

義彦君も、結婚は、しないと思うと言っていた。

『君とだけじゃなくて。誰ともしないと思う』

私とだけじゃなくて。

結婚自体しないっていう意味なのだと思ってたけど。

そういう意味ではなかったんだ。

そういうのが、私を傷つけないための優しさだったのか、どうか私にはわからない。


その彼が、「ごめんなさい」ってはっきりと私に謝って来た。

そのことに対して、私はすごく驚いた。

はっきり口にするっていう事は、覚悟を決めたっていう事だろう。

いよいよ、本気なんだ。

この人も、どうにか、前に進もうとしてるんだと思うと寂しくなる。

自分だけが、後れを取ってしまったみたいに思える。

義彦君、はっきり自分の意見を言ってる。

すごいなと思った。

ところが……


「結婚してしまっても、変わらない。これからも、美帆とは会いたい時に会うさ」
< 119 / 349 >

この作品をシェア

pagetop