オフィスの野獣と巻き込まれOL
違うよ、亜美。
課長は私の事なんか、何とも思ってない。
だから私も。
彼のこと、何とも思ってないと思わせなければならない。
気持ちを伝えても、課長のことだから、
『代わりなんかいくらでもいる』って面倒くさがられるだけだ。
あの人の仕事ぶりを見ていて、普通の人と全然違うんだもの。
あの山科君が、きりきり舞いするほど堀川課長は、仕事ができる人なんだ。
きっと、普通のサラリーマンとは違った道を歩いてきた人なんだろう。
会社が、どこかから引き抜いて連れてきたという噂もある。
レベルが違うのだ。
相手にされなかったのは、当たり前だ。
彼のそばで、うろうろしてるからと言って、こっちにを向てくれるわけじゃない。
そんなことわかってる。
その人のために必死で働いたって、上司という立場から、ありがとうって感謝されて終わりなんだ。
私には、ただ見てるだけしかできない。
それなのに、私の事がうらやましいって何だろう。
私には、誰からも大切にされる亜美の方が、うらやましくて仕方がない。
「きっと、上手くいくよ。美帆。心配しなくても大丈夫だって」
亜美がそう言ってくれるなら、そんな気がしてきた。