オフィスの野獣と巻き込まれOL



「えっと……お昼ごろ、
そっちに着くと思いますので。
よろしくお願いします。

ここは、
滋賀の工場視察に向かう新幹線の中。


「ええっ?何でですか?」

お昼?

お昼ご飯、どこで食べますかって言われても……

こんな小さなことでも、課長の許可を取らなければならない。

「少しお待ち下さい。
すぐに確認取ってきます」

私は、電話を切るとデッキから出て、すぐに車内の席に戻る。

私は、現地の社員と携帯電話で連絡するために、自分の座席とドアを出たところにあるデッキを行ったり来たりしていた。

滋賀県にある工場に向かうために、私たちは、東京駅から新幹線に乗り込んでいた。


京都駅に着いたら、在来線に乗り継いで最寄り駅で下車する。

大津の駅まで、うちの社員が迎えに来てくれることになっている。


その社員さんから、

『こっちについたら、お昼どうなさいますか。一緒に食べませんか?』と聞かれた。

私は、即答せず、課長のところに戻って、今、やり取りしたばかりの内容を伝える。

堀川課長が、
面倒くさそうに顔をあげて答える。

「昼飯?んなもん、適当に食べるさ。
観光に来たんじゃないからな。

今すぐにでも弁当買ってこい。
現地についたらすぐに視察に行く。
暢気に飯なんか食ってる時間はない」

ああ、そうですか。

近江牛の美味しいランチの店とか、行きたくないですか?課長。

私は、少々恨めしそうに言う。

「はい。分かりました」

そういうんじゃないかな、と思った。

私は、迎えに来てくれる担当さんに、お断りの電話をしに、また席を立つ。

そのまま伝えるわけには行かないから、やんわりとスケジュールが立て込んでるから、別の機会にでもと、向こうの担当者にお断りをする。


工場視察が決まってから、相手先の担当者さんとの調整を任されていた。

こういう些細な調整から、そうでないことまで、私は伝書鳩のように課長の回りを飛び回っている。
< 155 / 349 >

この作品をシェア

pagetop