オフィスの野獣と巻き込まれOL
「工場の価値はないものとして……
過去5年間で、この辺りで交わされた
不動産契約の評価額。
工場を稼働する事によって、得られる利益、それらを全部含めても、5億ぐらいが妥当だと思われます」
「えっと……」
私は、口を挟もうとしたけれど、
口ごもってしまった。
この話は、鈍い私にだって、かなりやばい話だって言うのは分かる。
分かるけど。
どれほど深刻なのかは、分からない。
私は、山科君見たいに賢くないもの。
悲しいことに。
なんて言って声をかけたらいいのか、私には分からなかった。
それを見かねて、山科君が代わりに言葉をかけてくれた。
「でも。工場がちゃんと稼働すれば、もっと上乗せされますけど」
「その、工場がまともに稼働するかどうかも問題じゃないのか?」
折角、山科君が言ってくれたのに。
堀川課長は、山科君の楽観的な意見をバッサリ切り捨てた。
「はい。その通りです。申し訳ありません」