オフィスの野獣と巻き込まれOL
「会社のダンボールは止めろ。
それから、送り先も工場の名前を書くな。
部長が気にしてる。
部署名宛てで送ると、勝手に段ボールを開けられる可能性がある」
「はい。
送り主も、個人名の方がいいですね」
「ああ、そうしてくれ」
箱に詰め終えると、課長は橋本さんに向かって言った。
「工場の運営って、普段どうなってるの?」
もちろん、会社の示した組織図って言うのがある。
でも、ここは組織が会社の示した通りになっていない。
工場長の影響力が強い。
「ほとんど、工場長が決めてます。
私たちは、意見すら言えません。
その工場長も、今日みたいに2か月に1度は東京の本社に行ってます。
そこで、本社の支持を仰ぎに行くんです。
棚卸のやり方も、そうして決めてます」
「何でもかんでも、一人で決めてるのか?」課長が聞き返した。
「はい。会計士の先生も、一応、意見はおっしゃっていただくんですが、
工場長が……
法律に乗っ取って作業を進めてるから、問題ないと突っぱねてしまって」
「わかった。勇気をもって、よく知らせてくれたね。
後の事は、こっちで進めていくから。
橋本さんの思いを、無駄にするようなことはしない」
「はい。ありがとうござます」