オフィスの野獣と巻き込まれOL
資料集めが終わると、四人で事務所の会議室にしばらく籠った。
「この工場を買収するのに会社が支払った金額が169億円。大金出したのに。
資産価値が、たった数億円……」
山科君が自分で作った資料を放り投げた。
「何てこと……悔しいです。新しい工場が出来ると知った時は、すごく嬉しかったのに」
橋本さんが、手にしていた資料を握りつぶした。
山科君は、電卓を離さず、さっきから計算しては、悔しがっている。
「どういうことなんだ?
……会社は、どうして、こんなものに何百億っていう金を払ったんだ?」
山科君は電卓を放り出して、机をバンと叩いた。
課長が静かに言った。
「物事を逆から考えてみろ。
いくらなんでも、こんな二束三文の工場。
法外な値段で買うほど、上層部もイカれてないだろう。
この会社の経営陣には、そうする必要があったんだ。
ボロ工場を買収して、169億っていう金を損した事にしたかったんだろう」