オフィスの野獣と巻き込まれOL
「それで、商品だけが行ったり来たりするのか」
橋本さんが伝票を確認しながら言う。
「それの、どこがいけないんですか?」
私が質問する。
「商品がぐるぐる回るだけで、実際にお金を生み出してない。
お金は帳簿上、行ったり来たりするけど。実際にお金は入ってきてない。儲かっていないんだ」
山科君が答える。
「取引は成立するけど、お金を受け取って、また払ってたら何の意味もない」
課長がダメ押しをする。橋本さんが肩を落とす。
「これは、誰が処理を?工場長ですか?」課長が丁寧に聞く。
「はい。私たちには、この手の情報は聞かされませんから」
課長はその様子を気にせず、二人が作った資料に、
色ペンでチェックを入れながら、今起こってることをその都度、山科君と橋本さんに説明してる。