オフィスの野獣と巻き込まれOL


「課長、そろそろ
スケジュール教えて下さい。
この後のスケジュール、全く変わってしまいましたから」

課長は、地図を見ながら碁盤の目のような通りの角に立って、方角を確認している。
私の話なんか聞こえてないみたいだ。


彼は、歩き出して、すぐに立ち止まった。

私がいたことを思い出すと、しばらく考えてから言った。

「そんな事より、成田、鴨川には、カモはいるのか?」

「はあ?」

あまりにも的外れな質問なので、驚いて大きな声を出してしまった。

「鴨川ですか?川で何するんですか」

鴨でも捕まえるのか?

「京都と言えば、鴨川だろう」

課長はすでに鴨川の方に歩き出している。

「これだけ古い歴史を持った街なのに、なぜ川に鴨という名前を付けたのだ?」

「知りませんって、そんなこと」

いったい、どうする気なのだ?

川の方向に歩いて行って、すぐに橋のところに出た。

平日だけど、それなりに人がいて河原に降りて歩いてる人もいた。


川岸には、やぐらを組み上げた納涼床が並んでいて、その上に座敷が並んでいる。

京料理なんかを食べさせる店が、ずらっといくつも並んでいる。

テレビや雑誌で、よく見かける光景だ。

「夏の京都の風物詩だね?」

「風物詩?」

「毎年こうやって、同じ風景が見られるっていうこと」
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