オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美味しいですよ。もしかして、食べるより、ずっと眺めている方が好きなんですか?
それとも、課長は、食べ方分からないんですか?」

真剣な眼差しを茶化すように、微笑んでみる。

課長も表情をやわらげた。

「こんなふうに目の前に置いて、楽しむのもいいんだ。ずっと見ていられるからね」

「冷めてしまいますよ」


食事を終えて、川沿いに歩き出した。

「どこか行きたいところは、ありますか?」

課長がまっすぐホテルの方に歩き出したので、声をかけた。

「いいや。部屋に戻りたい」

「そうですか。では、そうしましょう」

私たちは、回れ右して元来た道を帰っていった。

もう少し散歩して歩きたいなと思っていたけど、彼が疲れてるんだろうから仕方がない。

課長は、やはり何もしゃべらないでホテルまで歩いた。


キーを受け取ると、ロビーでお茶しませんかという私の誘いも断って、エレベーターに乗り込んでしまった。

もう少し、話しに付き合ってくれたっていいのに。

フロアに着くと、お約束のように、私を置いてさっさと先に行ってしまった。

「ちょっと待って下さいって」

課長は鍵を開けると「こっちへ来い」と言って、手招きした。

素直に従うと背中を押して、私に入るように言った。

「飲みたいものがあれば、部屋で飲めばいい」

そう言って、さらに部屋の奥に入るように言った。

ベッドの横にテーブルが見える。


「打ち合わせしますか?」


「ああ、そうだな」
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