オフィスの野獣と巻き込まれOL
何度も抱きしめてくれたけど、
「好きだよ」って言葉さえ、言ってくれなかった。

一緒に住むなんて、断るべきだろうか。

そんなこと考えていた。

気がついたら、隣にいたはずの課長がいなくなっていた。

ホテルでゆったり過ごすのかと思ったら、シャワーを浴びて何やら出かける様子。

さっぱりした髪の課長は、すっきりした顔になっていた。

今日は、スーツじゃなくて、薄いブルーのシャツに、ラフなズボン姿だった。

「もう、出かけるんですか?」

「当たり前だ。出かけなきゃ、京都に来た意味がないだろう」

前髪で額が隠れると、別人のようになる。

もともと整った顔立ちだけど。

この方が野性味が増して近づくだけで、何かされそうで怖い。

「チェックアウトの時間まで、もう少しあるわよ」

昨日は、ほとんど寝かせてもらえなかったのだ。

もう少し、朝寝坊させてくれてもいいのに。

「美帆、そんなことしていたら昼間になっちゃうぞ」

「そんなに急いで、どこに行くの?」

「どこって、彼に会いに行く」

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