オフィスの野獣と巻き込まれOL
その、課長本人はというと?
旅行の時の、あの、惚れ惚れするような恋人はどこかに消えてしまって、元のまま。
仕事の鬼に戻ってしまった。
黒のアームカバーに、髪をしっかり固めて、伊達メガネをして休む間もなく動き回っている。
「山科、さっきの資料もう一度見せてくれ」
「はい」
山科君が、さっきプリントアウトした書類を課長に渡す。
山科君が出した数字に納得しないのか、課長がまた、身体を寄せてきた。
山科君に質問しながら、大きな手をがっちりと私の肩に乗せている。
だから、私を真ん中にして、山科君に話しかけなくてもいいのに。
私は、身を縮めて課長の邪魔にならないようにする。
「金の流れはつかめたか?」
山科君は、首を振った。