オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美帆、ダメだよ。
君が今から何を言い出すのか、わかっちゃった。

僕たち付き合いが長いからね。
以心伝心。まさにそれだね。

今さら僕と、
もう関係ありませんと言っても、通用しないよ。
君も今さら、
すべてを失う訳にはいかないだろう?」

この人は、ただ、優しい人とは違った。

ただ、いい人なのだろうとずっと思ってきたけど。

でも、この人はただ優しいわけではない。計算高い人だ。
今さらだけと。したたかさを感じる。

「私にどうしろというの?」

もう、この人のためには働けない。
それは、はっきりしてる。

堀川課長を裏切る訳にはいかない。

課長に不利になるようなことは、はっきりと断ろう。

「あの……」

「美帆ちゃん、あのね。これ、君に渡すから。君が判断して」

義彦君は、机の中から小さな黒い物をとし出した。

彼は 私の手を取って、メモリースティックを握らせた。
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