オフィスの野獣と巻き込まれOL
「そうなるかもしれない。
何しろ、一社員が重役に食って掛かるなんて正気の沙汰じゃないからね。
当然、課長への風当たりは今まで以上に強くなる」
「うん」
「海外ファンドへ送金した口座番号に、金額をザっと見ただけだけど。
工場を買収して、損を出した金額と一致してる」
「一致してると、どうなの?」
「経営陣は、何らかの理由で会社に損をさせたんだ。
160億円というとんでもない金額をね。
それを埋め合わせるために、元々価値のない工場を高値で買った。
損をしたように装ったんだ。
課長の言ってたことが正しかったって証明される」
「それって……」
「立派な粉飾決済だよ。
これがあれば、経営陣の責任は免れない」
「山科君、それって……」
「重大な判断だね。でも、俺には強制はできない。君が決めたことに従うよ」