オフィスの野獣と巻き込まれOL
質疑応答が終わった。
特に答えに困るほどの意地悪な質問もなく、新社長はよどみなく応えていった。
本当に、なんてすごい人なんだろう。
近くに寄ろうにも彼との距離は遠すぎてダメだった。
彼の周りには武子夫人の他、会社の関係者がたくさんいて、近づける状態ではなかった。
彼がきびきびと質問に答える姿は、惚れ惚れするほど堂々としている。
すでに社長としての風格が備わっている。
あの人は誰だろう。
ぶかっとした野暮ったいスーツで、私の目の前に現れた課長はどこに行ってしまったのだろう。
カッコいいスーツに身にまとった彼は、私にとってまるで見知らぬ人だ。
見たこともないような、赤の他人に思える。
私は、課長に声をかけるのを諦めて、山科君に言った。
「ごめん。疲れちゃった。これまで忙しかったから休んでもいいかな」
「ああ、もちろん。構わないけど。
課長、俺たちとも話したいと思ってるよ。ここで待ってない?」
「ここにいても、いつになるのか分からないよ」
彼はいろんな人に捕まていて、こっちを向く素振りも見せない。