オフィスの野獣と巻き込まれOL

「美帆……」

会議室のドアノブに手をかけながら彼が言う。

「ん?」

「約束した事、覚えてる?」

「データー渡してくれた時のこと?」

「ああ」

「取引って言ってたわね?」

「うん」

「わかった。それじゃあ、何が欲しいのか言ってみて」

「君」

「ええっ?」なに、それ。

空耳?

本気で言ってるの?

義彦君は、大真面目に言う。

「別れるなんてやっぱり無理だった。やり直そう」

「義彦君、何言ってるの?
あなた、婚約してるんでしょう?どうやって、私と付き合うのよ」

「その、婚約だけど。
美帆ちゃん、聞いてよ。

会社が傾いたのと取締役から外された事で、なかった事になったんだ」

嬉しそうに答える。

「はあ?」
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