オフィスの野獣と巻き込まれOL
「部屋の荷物が消えたって、どういうことだ?ほんとなのか?ちゃんと話して」

私は、彼の腕に収まったまま義彦君に言われたことを話した。

「だとすると、君の家財道具はトラックに乗せられてどこかを走ってるんだな?」

「多分、そうだと思います」

「悪い、ちょっといいか?」

彼は、私の体を優しく離した。

ポケットから携帯を取り出すと山科君を呼び出した。

「悪い、至急調べてもらいたいんだが。

義彦が贔屓にしてる引っ越し業者ってどこだ?今すぐにかって?

大至急だ。すぐに担当者も教えてくれ」

祐一さんは、電話を切ると頭を引き寄せた。

「どうして、すぐに俺に言わないんだ?」

「人が多すぎて、近寄れなかったもの」

「君には、少しの間くらい待つってことが出来ないのか?」

「引っ越し業者突き止めてどうするの?」

「荷物必要なんだろう?そのまま奴に全部くれてやるなら、新しく全部そろえてもいいけど」

私は首を横に振った。

いままでの思い出を全部なくしたくはない。

「わかってるよ。まあ、過去のことなんか、みんな消し去ってしまいたい。

真っ新にしてしまって、俺の記憶で全部上書きしてやりたい気もするが」

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