オフィスの野獣と巻き込まれOL
「えっと、あの……」

「まあ、こんな小さな会社の社長になったくらいで嬉しくもなんともない。

あのくそババのおかげで、稼ぎはニューヨークの10分の1になっちまった」
彼は、残念そうにいう。

「10分の1?」

「少なく見積もってだよ」ため息をついた。

「えっと……」状況がよくわからない。

「だから、ここでの俺の楽しみは、美帆ちゃんしかない」
彼が顔を近づけた時に、ドアが開いた。

勢いよく山科君が飛び込んで来た。

「ご、ごめん。急ぎだって聞いたから。
引っ越し業者分かりました。
トラックは東名を関西方面に向けて走ってます」

「担当者は、捕まった?」

「はい」

祐一さんは、自分の携帯でダイヤルした。

相手が出ると、威圧感たっぷりに言う。

「悪いけど、
その荷物運び先間違ってるんだけど。

至急今から読み上げる住所に運んでくれないかな?」

電話の相手も意見を変えないみたいだ。

祐一さんは、構わず強い口調で押しきる。

「あのさあ、
だから専務がどうとかじゃなくて。

それ、俺の大事な荷物なんだよね。

ダメって、まさか、俺の話を断るつもり?

君さあ、うちの会社と付き合い長いよね。逆らうなら、そうだな。

今後うちとの取引止めるよ?
違うか、うちだけじゃないか。

国内で仕事できなくなるけどいい?」

彼は、嬉しそうに言う。


「どちら様ですかって?社長の綿貫だ」



「こういう時って、社長の効果って絶大だね」鼻歌を歌いながら言った。
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