オフィスの野獣と巻き込まれOL
部屋1つ分ほどもある、だだっ広い玄関を通り過ぎると、広い廊下を歩いた。
私たちは、武子夫人の後をついていく。
歩き出してすぐ、客間と思われる和室に案内されて、祐一さんの横に座らされた。
「よく来てくれたわね」と武子夫人に挨拶され、お茶まで出される。
「祐一、準備はできているの?」
武子夫人が、面接官のように祐一さんの方を見て尋ねた。
「大した荷物はありませんからね。すぐにでもこっちに引っ越せますよ」
そうなんだ。
引っ越すって。祐一さん、ここに住むんだ。
まあ当然だよね。彼、うちの会社の社長になったんだもんね。
「そう。早く終わらせてね。
あなたの引っ越しが終わったら、私はあなたのマンションに移りますから」
武子夫人があっさり言う。
「急がなくてもいいだろう。
この家、部屋だけはたくさんあるし。俺たちが使ったって、たかが知れてる」
武子夫人は、祐一さんの返事を聞くと、嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう。でも、新婚家庭に私のような姑、いない方がいいでしょう?」