オフィスの野獣と巻き込まれOL
「俺は、このまま行くけど。
君はここで朝飯、食べて行くといい。

チェックアウトギリギリの時間に、持ってきてもらうように、ルームサービス頼んでおいたから。その頃には、服着てろよ」

「うん」

「じゃあな」

彼は、すでに着替え終わって、部屋から出て行こうとしているところだった。


じゃあな?って、なにそれ。


「ちょっと待って」


すぐに追いかけていき、私はようやく、部屋を出て行く前に彼の腕を捕まえた。

「じゃあなって。今度はいつ会えるの?」

彼の体にしがみついて聞いた。


「いつ会えるだって?」


その時の彼の驚いた顔は、忘れられなかった。

冷たい、他人を見るような目。


面倒くさいことになった時に、男がよくする顔だ。

彼は、しばらく表情を変えずに私を見ていた。

私が手の力を緩めるまで彼は、そうしていた。


「えっと……もしかして。
君は、俺とこのまま、関係を続けたいって思ってる?」

さっき私を見ていた温かい眼差しは、どこかに消えてなくなっていた。


彼は、これ以上ないという冷ややかな目で私を見下ろしてる。

「付き合いたいって思うのは、当然でしょう?昨日は、あんなに打ち解けたんだし」

目の前にいる彼はとても近寄りがたく、まるで別の人みたい。
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