オフィスの野獣と巻き込まれOL
「午後にお客様が来るから。そのつもりでいて欲しいの」

「はい。分かりました」

綿貫家には、いろんな人が来る。

ほとんどが古い付き合いで、私の出る幕はないんだけど。

時々、祐一さんに関係することで呼ばれることもある。

「知ってるお客様だから、ゆっくりしてもらうといいよ」

「はい」

知ってるお客様。

誰だろうと、迎える準備をした。


お着きになりました。

という知らせを聞き、玄関でお客様が来るのを待った。

引き戸が開き、来客の顔を見て驚いた。


「ママ?」淑子ママが一番上等な着物を見につけて立っていた。

「まあ、美帆ちゃん。すっかり若奥様ね」

ママが駆け寄ってきて、娘の晴れ姿を眺めるように言う。

「えっと。身なりは気を使ってますけど。中身はそのままです」

ママの店を飛び出していった、それ以来の再会だった。


「何してるの?早く中に入ってよ」

武子夫人が、待ちきれずに後ろから身を乗り出して言う。



「武ちゃん、そう急かさないでよ」

ん?今、何て言った?

私は、淑子ママの顔を見る。

どう考えても、淑子ママの口から出た言葉だ

さらに、武子夫人も言う。

「よっちゃん。あんたが好きなお茶菓子買っておいたのよ。早くあがって」

とうとう待ちきれず武子夫人は、私を追い越して淑子ママの腕を取った。後は、仲良しの女学生みたいに手を取り合って廊下を進んでいく。

ええっ?この二人、知り合い?

どういうこと?

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