オフィスの野獣と巻き込まれOL

まさか。

「ああ……」なんてこと。

「可哀想に。君は、そいつに騙されたんだ」

「騙された?」まさか。そんなはずない。


彼は、同情も欠片もない目で見た。

「知らない。私、本当にそんなこと、聞いてない」

本気で言っていたのに。

彼にそう言って、もう一度考え直してって迫ったけど、態度が変わることはなかった。

「君に用事を頼んだのは、君の彼氏か?」

私は違うと言った。


本当に自分の彼女の事、大切だと思ったら、こんな事頼むはずない。

親密な時期もあったけど、今は上手くいっているとは言えない。

彼の言う通り、私は利用されたんだ。


「そんなはずない……」

「そっか、それは気の毒に」

頭が働かない。胸が苦しくて息が出来ない。

男の指が、すっと首筋をかすめてく。

「大丈夫か?」

彼は私の首筋に顔をうずめて、髪をかき上げて息を吸い込んだ。

「すごくいい匂いだ。どうして欲しい?まだ時間はある……
昨日のように、慰めてあげようか?」

心地よいキスが降ってくる。


どうもして欲しくない。私は、首を振った。

気持のない相手に抱かれるなんて嫌だ。

一刻も早く、この魔の手から逃げ出さなくては。

彼がキスしようとした時、彼の胸を突き飛ばした。


彼は、不意を突かれてよろけた。

「暴れるな、よせって」って言いながら私を捕まえた。

逞しい腕にもう一度抱きすくめられた。
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