オフィスの野獣と巻き込まれOL
私は、身をよじって抵抗して、パチンと彼の顔に平手打ちをした。
「何するんだ」
容赦ない力でねじ伏せられ、私は、男の下敷きになって床に倒れこんだ。
男は、そのままの姿勢で上から見下ろしている。
目を逸らしたくなるような、鋭い目つき。
「気の毒だけど。俺、君には同情しない」
私を力強く押さえつけた腕、見かけによらず、白いシャツの下は逞しい胸をしている。
ダボっとしたスーツの下に素晴らしい肉体が隠れてるのに。
私は、そのことにもう気が付いてしまってる。
あの胸に触れた時、どんなことになるのか。
昨日の熱がよみがえってくる。
昨日と同じ、ギラギラした目で彼は言った。
「昨日は最高だった。満足したよ。
君は、しかりと役目は果たしてくれたよ。
だから、君にしてもらうことはもうない。
もう一度、君の事抱きたかったけど。嫌ならそれまでだ」
「嫌、そんなことって……」
「悪いけど。ここで失礼するよ。そうだ。君にやるよ」
彼は、カバンの中から小さな紙切れを取り出した。
「これ、昨日の報酬だ。そいつに渡しておけ。
言っとくけど。これは経費で認めたわけじゃない。
俺のポケットマネーだ。まあ、そんなことどうでもいいけどな」
くすっと笑った顔が頭に残った。
欲しかったから、体だけ重ねた女だって言われてるも同然なのに。
去っていく背中に、欲望を捨てられなかった。