オフィスの野獣と巻き込まれOL
堀川祐一に油断した……
彼は、会社でも目立ない男だったから、仕方ない。
中身が全く別人のようだなんて。誰も思わないもの。
ダサいメガネに、体の線に合ってないスーツ。
ダメ押しが、ぺったり貼り付けられた黒い髪。
仕事中は、これに黒いアームカバーとセットされる。
『こんな人いたっけ?』っていうのが、私の彼に対する最初の印象。
たとえ目の前に立っていても、その存在に気が付かない。
そのくらい、地味で目立たない。
そんな男に、いいようにされたんだ私……
彼のおいて言った紙切れを拾い上げる。
領収書だった。
158000円。○○産業。聞いたことのない会社だった。
「なによ、これ」
あいつが体中に付けた跡が、いくら擦っても消えない。
「どれだけ強く跡付けたのよ」
こんなに情熱的に、求められて愛された事なかった。
本物だと思ったのに。
体だけじゃない。
心の中も引っ掻き回されて、無茶苦茶にされてしまった。
もう、どうしていいのか分からない。
湯船に体を沈めて、いっそのこと息絶えてしまいたくなる。