オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美帆、ねえ、どんな料理だったの?
ホテルのレストランなら、フルコースよね?いいな。美味しそう。私も行ってみたい」

亜美が私を見て、うらやましそうに言う。

「だってよ、山科君」私は、無理やり話をそらそうとした。

「俺のことは、いいから。義彦専務と何か進展でもあったの?」

山科君、鋭い声になる。許してくれる気はないらしい。


「えっと、大した話はしなかったかな」

だって。

フランス料理はきっとおいしかったんだろうけど、何を食べたのか覚えてないし。

話をしろって言っても、元々キモとのこと、二人に話してないし。

それにキモと話した内容は、ここではとても言えない。


「わざわざ、高級レストランに行って?何も覚えてないの?」

亜美が天使のような微笑みで、一番つつかれたくない場所を突いてくる。


山科君が、わざとらしく両手で三角を作って、口元に当て考えるポーズをしている。

追及するのを、諦める気はないらしい。

『ネタは上がってる。話すなら今の内だぞ』刑事ドラマなら、そういう場面だ。

はい、すみません。

もう誤魔化せません。何なりと聞いてください。山科様。


「ねえ、美帆、お料理どんなだった?教えてよ」

亜美、今、その話は止めようよ。

ホテルのホームページ見るから。そうしなきゃ答えられない。

私は苦笑いする。


「スープは、普通のコンソメスープだったかな」

キモのこと見てて、料理のことなんて覚えていない。

何を食べたのか、それすらも何も覚えていなかった。
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