オフィスの野獣と巻き込まれOL
休憩時間が終わって、亜美が弁当箱を持って立ち上がった。
「ごめん、課長帰ってくる前に、資料揃えなきゃいけないんだった」
じゃあねと手を振って、亜美が一足先に会議室を出て行った。
ふうっと息を吐き出して、何気なく正面を見た。
山科君の冷ややかな視線とぶつかった。
「美帆、ブラウスのボタン上まで止めたら。奥の方うっすらと見えてるよ」
そう言うと、山科君が、テーブルのゴミを片付けて立ち上がった。
「ん?」
「俺の言ってることが分からないなら、すぐに、鏡みてきたら?」
「あの……」
友人にまで責め立てられたみたいに、急に自信がなくなる
確かに、私はどうしようもない女だ。
うっかり誘いに何て乗ってしまって。だらしないと言われても仕方がない。
私は、ブラウスの前を合わせる。
だからと言って……
そのことを、なかったことにはできない。
「大丈夫か?」
短い言葉だけど、山科君が心配してるっていう気持ちが伝わった。
「大丈夫じゃない……です」
私の涙腺は切れてしまった。
もうダメだ。何とか頑張ってつなぎとめていた自尊心が崩壊した。
私は、その場で崩れるように泣いた。
亜美の前では、何とか取り作ったけど。もう、いっぱいいっぱいだった。
「やっぱり、何かあったんだろう?」
「うっ……」
そこを突かれると……
持ちこたえられない。
感情が堰を切ったように溢れてきた。
うわーっと声をあげて泣く。