オフィスの野獣と巻き込まれOL
「一体なにやらかしたの?」彼は、さっきよりさらに目を細めて言う。
「何も」私は、白々しく言う。
「嘘くさい」
話したって、真面目に生きろっていうだけじゃないの。
「山科君、そう言えば……」思い出した。どうして忘れてたんだろう。
山科君、経理部じゃん。
私って、ほんとバカだ。なんで気が付かなかったんだろう。
ようやく私にも、光がさしてて来た。
いけない。顔がにやつく。
「何だ?」
急に元気になって、気味が悪いって顔をした。
「そうだった。山科君て、経理だよね?」
「それがどうした」気味が悪いみたいに、後ろに下がった。
「そんな、後ずさりしないでって。会社のお金が欲しいなんて言ったりしないから」
「何言われても、俺は、悪には手を染めないぞ」
山科君は、眼鏡に手を添えて私のことを警戒してる。
「なによ、ほんと、詰まんない男ね」
「ちょっと待て、んで、何が聞きたいんだ?」
山科君は、私が何を言い出すのか予測するのを止めたみたいだ。
私は、ニヤッと笑った。
山科君だって、興味あるよね?
むくむくと大きくなっていく好奇心には敵わない。
「経理部ってさあ、キモ川課長っているよね?」
「キモだって?」と言いながら、彼はしばらく考えていた。
「でも、そう呼んでるのは、私だけじゃないよ」
「堀川課長だろう?知ってるけど。それは、酷い呼び方だなあ」
「キモ課長のこと何か知ってる?」
そう呼んでるのは、私だけじゃない。
「ちょっと待てよ。美帆、堀川課長の何が知りたい?」
「まずは、彼って、何者?」