可愛い人。
ピ――!
と、試合を開始するホイッスルが鳴り響いた。
………えっと、
山崎くんの提案で塩沢さんが急遽男子の方へ行っちゃったけど、
これっていったい…。
すると呆然としていた私に誰かが話かけてきた!
「あの、野呂さん…だっけ?もしかしてペアいない?」
と、さっきまで塩沢さんとペアを組んでいた野島さんが話しかけてくれるっ!!!
「え?……は、はい!い、いません…!!」
「じゃあ、あたしとペア組んでくれない?急に相棒がいなくなっちゃってさ!」
!!!
うそッ!!
う、嬉しいッ!!!
「わた、わたしで…良いんですか…!?」
「うん!一緒にやろっか?」
「は、はい…!」
塩沢さんには悪いけど、私もほんの少しだけ、みんなの仲間に入れたような気がした。
山崎くんが塩沢さんをバスケに誘ってくれたおかげ……なのかも?
ふと向こうのコートに視線を移してみると…。
「塩沢、お前……、本当は男子なのに女子と偽(いつわ)ってないか!?」
「ちょっと先生ッッ!!!それってセクハラでしょ!?アタシは女よ!!!」
先生と塩沢さんがリング下でボールを取り合っていた。
その光景を見て思わず頬が緩んでしまう…。
と、少し目線をずらすと……。