可愛い人。
「……っ!?」
こっちを見ている山崎くんと視線がぶつかった!!!
思いっきり視線をはずす私!
そして耳が、かあ~っと熱くなっていくのを感じた。
どどどどうして!?
なんでこっちを見てたの!??
そ、それになんだかやけに真剣な顔してた……!?
って!
こ、こんなのただの自意識過剰だよっ!!
私は何を考えて…!
動揺を隠せない私に優しい声が聞こえてきた。
「野呂さーん!サーブいくよーー!」
「……っ!は、はい!」
野島さんの掛け声とともにゆっくりとシャトル(羽根)が私めがけて飛んでくる。
それを打ち返そうとするけど……。
「わっ…!」
「ドンマイ!野呂さん!もう一回やるね!」
「す、すみません……!」
恥ずかしい!
ラケットにかすりもしない!
集中力が欠けているからなのか、運動オンチのせいなのか。
どちらかわからないけれど、最初の5回は打ち返すことができなかった。
ただ……。
「翔太ぁーーー!!!塩沢をぬけぇぇ!!」
「そこでシュートだ、翔太!!」
「山崎ぃぃ!!アンタ格好ばかりつけてるんじゃないよっ!!!」
「ゴブリンさ、俺に得点抜かれてくやしいからって、いちいち追いかけてくんなよな!?見苦しいぞ?」
なぜか声援と口論が鮮明に聞こえてきて、授業が終わるまで私の心は落ち着くことはなかったんだ…。