SIX STAR ～偽りのアイドル～
第４章 デビューコンサート
最近の睡眠時間は4時間を切っている。デビューまで、残り１週間。
残りわずかの時間で歌の歌詞を覚え、間違えないように振りを覚えなければならない。
今日はPRのためにテレビで取材を受けることになった。
今までにも数回、テレビ局には来たけれど、特番撮影のために半日仕事でくるのは始めてだった。
事務所ねワゴン車に詰め込まれ、オーディションをしたテレビ局についた。
「なぁ、今日ここに『ストロベリー10』が来とるんやないか？」
十作が興奮気味に言った。
『ストロベリー10』とは女子アイドルグループ10人組で、今一番の人気だった。
私は興味ないので、１人も顔と名前が出てこない状態だ。
「〝うたサタ” の収録日か・・・確かにベリーのあゆちゃんはかわいいな」
謙太も真面目な顔で言う。
「女か・・・面倒くさいな」
哉斗もつづく。
「僕のほうが可愛くない？ ねぇ？」
移動の時に横に座る瑞貴は、そう言いながら何気に私と手を繋いできた。瑞貴はいつも手を繋いだり、腕を組んできたりするのだ。
女子同士でも、あんまりそうした経験がないのでどうしてよいものか戸惑ってしまう。
「おい！ 恵！ ちゃんと忘れ物ないようについて来いよ」
最後はリーダーの龍星だ。あのリーダー決めの日から私は、龍星にいろいろ雑用をさせられている。
それだけじゃなくて、ダンスの一番下手な私は、例の公園で居残り特訓までさせられる始末だ。
「・・・わかった」
逆らってもうるさいだけだから、渋々従っている。
「なんちゅう言い方や。恵、ええよ。俺やったるから」
十作はそうやって私の世話をしに寄ってきて、
「ダルいから、俺も荷物にして」
今度は哉斗が後ろから私に、覆い被さってくる。
「いいから。寄ってくるな」
哉斗を押しやり、十作も牽制する。なんでこうなってしまうのか、よくわからない。
私たちはワゴン車を降り、テレビ局の中へ入って行った。
「今日の予定をちゃんと把握しているか？」
テレビ局に入り、控え室に向かっていると、龍星が私の横に並んで不機嫌そうな顔で言ってきた。
私と話すとき、いや、誰と話しても龍星はなぜか不機嫌だ。
「歌撮りして、インタビュー受けて？あと何だっけな？」
昨日、雪野から聞いたけど覚えきれなかった。
「お前やる気あるのか？」
龍星は眉間にシワを寄せる。
来る、また。
私はよく龍星の逆鱗に触れ、まるでサ〇エさんの漫画の親父さんみたいに怒鳴られる。
無意識に耳を塞いで構えていると、
「龍星？龍星なの？」
エレベーターから降りてすぐ、女子の団体とすれ違った。結構な人数で私たちの横をキャーキャー言いながら通り過ぎる。
先に歩くメンバーが心なしか１割り増し格好良くウォーキングしているように見える。
龍星は私に怒っているのに気をとられたのか、彼女らに気付いてなかったみたいだった。
その中でひと際黒眼の大きい女子に呼び止められて、２人はすれ違いに立ち止まった。
振り向きたい衝動にかられながらも、龍星を置いて小走りにみんなのところへ追いついた。
「あれ、誰？」
タイミングよく、哉斗が聞いた。
「お前本当に興味ないんやな」
「あの子が例のあゆちゃん」
「ね、僕のほうが可愛くない？」
「何ゆうとるんや。あゆちゃんの方がかわいいに決まっとるやろ。まぁ、恵ならいい線いくかもしれへんけど・・・」
そこで、みんなの視線が私に向いた。
「？」
（なんで私？）
「女の子と比べられて勝ったもクソもないだろ。恵は男だろ」
「そやけど、もしもの話やんか」
謙太の助け舟にまだ十作は食らいつく。話題がそれるのを待つのに、
「俺は男でも構わないけど」
なんて、今度は哉斗が口を挟み、ますますややこしくなった。
「何ちんたら歩いているんだ。恵！時間見て動け」
ややこしい雰囲気もあとから追いついてきた龍星のおかげで吹っ飛んだ。私は龍星に始めて感謝した。
歌の歌詞も間違わない程度に覚えた。
振り付けも覚えたし、隊形の変化もぶつからないようになった。
（歌を歌う時に、立ち位置を移動する）
今日はそれが客観的に見えるからと、この間テレビ局で撮影されたものをみんなで見ることになった。
本番寸前なのでみんな真剣だ。
事務所の会議室に、西野や振り付け担当・デビューのステージプロデューサーやスタッフ全員が集結した。
始まって３０分誰も何も言わない。
もちろん私たちも背筋を伸ばした感じで一緒に見ていた。
自分以外の個人撮りの場面はそれぞれ個性が出ていて、みんな本人より３倍増しにイケメンに見えた。
その中でも龍星はいつもの仏頂面は完全に封印され、私が見てもポッとなるくらいかっこよかった。
でも・・・、
「まあ、おおむね合格ってとこか」
映像を見終わってから、西野が言った。
「このままいくか、構成変えるかは任せる。恵、あとで私のところまで」
その言葉で解散。
（だから、私じゃ最初から無理だったんだってば）
私のインタビューや一人撮りのところは、なんだかぎこちなく自分で見てもかなりまずいと思った。
全体撮りでもみんなの足をひっぱっているのがすごいわかる。
私は解散後励ましてくれるみんなと別れ、西野の部屋へ向かった。
手前の部屋にいる秘書が取り次いでいる間に、深呼吸を３回する。
「どうぞ、中へ」
言い訳をいろいろ考えながらここまで上がってきたが、部屋の中に入った段階ですっかり吹っ飛んだ。
西野はいつも黒系のスーツをきっちり着ているが、今は上着を脱ぎネクタイまではずしていた。
「そこに掛けて」
西野は何かデスクワークの途中で、こちらを見ずに言った。
私は西野のデスクの前にある立派なソファーの隅っこに腰かけて待った。
「まあ、期待はしていなかったけど、君なりに頑張っているっていうところか？」
デスクワークの手を止め、西野がこちらに近づいてきた。
「しかし」
私の前までくると、西野は私の顎に手をかけて顔を上げさせる。
すぐ目の前に西野の顔があり、ドラマでいうキスする一歩手前の体制だった。
「君もプロなのだから、契約まではきちんと演じてもらわなければ」
「わ・わかっています」
「分かればいい」
なぜか、西野はそれだけで私を解放してくれた。
鼓動乱すほどの大音量に、鳴り止まない歓声。
色とりどりのペンライトが揺れ動き、それは大波を想像させた。
東京ドーム、デビューコンサートは１回のコンサート時間９０分を１日に３回行った。
バックステージの巨大スクリーンに、１人１人の顔と名前が映し出され登場する派手な演出だった。
凝った照明のシャワーが自分たちと観客にふりそそぎに、花火や紙吹雪が舞台から飛び出した。
私は今までにコンサートとかライブとか見に行ったことがなかった。それなのに、自分がそのステージに立ち、歌ったり踊ったりしている。
自分が自分じゃなくなってしまうような、そんな違和感があった。
体力は十分あるつもりだったのに、３回目のステージあたりからは、ほとんど記憶がない。
帰りの車の中は、ステージが終わった後のアドレナリン爆発なメンバーと、燃え尽きて動けないメンバーで二つに分かれた。
私はもちろん後者だ。
この辺りから翌日朝までの記憶がない。
それもそのはず、この時には高熱でグロッキーだったのだから。
帰りの車がマンションに着いたときには、私は座席にぐったりともたれ掛かり気を失っていた。
横に座っていた瑞貴も同じ様にぐったりとはしていたが、基本的に男であることによる差なのか車がマンションに着いた頃にはかなり回復していた。
「恵くん。着いたよ。恵くん？ 大丈夫？ アツ ちょっとすごい熱じゃん！」
瑞貴の叫びで、車の中は大騒動になっていた。
一緒に帰りの車に乗っていた雪野はオドオドしているし、十作達は我も我もと私の席まで押し寄せて余計にその場を混乱させていた。
「 俺が 」
十作が後ろから身を乗り出して、腕を掴もうとした。
「僕が支えて行くからいいよ」
十作の手を叩き落として、瑞貴が横から肩を抱くように支えようとした。
「瑞貴～ズルいよ。俺もやる」
哉斗がそれをみてヤキモチを妬いていた。
結局、気絶している私を囲んで腕や肩を引っ張り合いが始まっていた。
「五月蠅い！ドケ」
龍星の怒鳴り声でみんなの手が一斉に引っ込んだ。
「いい、俺が担ぐ。謙太、手伝ってくれ」
「わかった」
龍星が背を向けて屈んだところに、謙太が私を背負わすのを手伝った。車から降り際に頭をぶつけないように、誘導も謙太の役割だった。
２人は意外に息があっている。もともと２人とも他のメンバーの中では頭を使って行動する派だった。
他のメンバーも心配そうに後から続いた。
そんなメンバーには目もくれない龍星だったが、車から数歩歩いたところで急に立ち止まった。
「なんや、重いんか？俺が変わったるやんか」
十作がすかさず言い寄る。
「なんでもないから、うっとうしい。お前らは部屋に戻れ。解散だ」
すこし乱暴な口調でリーダーが命令した。それにみんなが反抗しないわけがない。口々に文句を言い始める。
「龍星くんの言うとおりです。みなさん、部屋にもどってね。もちろん龍星くんも帰すからね。あとの看病は私がやるから。」
「みんな、雪野さんの指示に従おう」
みんなが爆発する手前で制したのは、雪野と謙太だった。もっと何か言いたげだったがみんなは渋々各自の部屋にもどっていた。
残りわずかの時間で歌の歌詞を覚え、間違えないように振りを覚えなければならない。
今日はPRのためにテレビで取材を受けることになった。
今までにも数回、テレビ局には来たけれど、特番撮影のために半日仕事でくるのは始めてだった。
事務所ねワゴン車に詰め込まれ、オーディションをしたテレビ局についた。
「なぁ、今日ここに『ストロベリー10』が来とるんやないか？」
十作が興奮気味に言った。
『ストロベリー10』とは女子アイドルグループ10人組で、今一番の人気だった。
私は興味ないので、１人も顔と名前が出てこない状態だ。
「〝うたサタ” の収録日か・・・確かにベリーのあゆちゃんはかわいいな」
謙太も真面目な顔で言う。
「女か・・・面倒くさいな」
哉斗もつづく。
「僕のほうが可愛くない？ ねぇ？」
移動の時に横に座る瑞貴は、そう言いながら何気に私と手を繋いできた。瑞貴はいつも手を繋いだり、腕を組んできたりするのだ。
女子同士でも、あんまりそうした経験がないのでどうしてよいものか戸惑ってしまう。
「おい！ 恵！ ちゃんと忘れ物ないようについて来いよ」
最後はリーダーの龍星だ。あのリーダー決めの日から私は、龍星にいろいろ雑用をさせられている。
それだけじゃなくて、ダンスの一番下手な私は、例の公園で居残り特訓までさせられる始末だ。
「・・・わかった」
逆らってもうるさいだけだから、渋々従っている。
「なんちゅう言い方や。恵、ええよ。俺やったるから」
十作はそうやって私の世話をしに寄ってきて、
「ダルいから、俺も荷物にして」
今度は哉斗が後ろから私に、覆い被さってくる。
「いいから。寄ってくるな」
哉斗を押しやり、十作も牽制する。なんでこうなってしまうのか、よくわからない。
私たちはワゴン車を降り、テレビ局の中へ入って行った。
「今日の予定をちゃんと把握しているか？」
テレビ局に入り、控え室に向かっていると、龍星が私の横に並んで不機嫌そうな顔で言ってきた。
私と話すとき、いや、誰と話しても龍星はなぜか不機嫌だ。
「歌撮りして、インタビュー受けて？あと何だっけな？」
昨日、雪野から聞いたけど覚えきれなかった。
「お前やる気あるのか？」
龍星は眉間にシワを寄せる。
来る、また。
私はよく龍星の逆鱗に触れ、まるでサ〇エさんの漫画の親父さんみたいに怒鳴られる。
無意識に耳を塞いで構えていると、
「龍星？龍星なの？」
エレベーターから降りてすぐ、女子の団体とすれ違った。結構な人数で私たちの横をキャーキャー言いながら通り過ぎる。
先に歩くメンバーが心なしか１割り増し格好良くウォーキングしているように見える。
龍星は私に怒っているのに気をとられたのか、彼女らに気付いてなかったみたいだった。
その中でひと際黒眼の大きい女子に呼び止められて、２人はすれ違いに立ち止まった。
振り向きたい衝動にかられながらも、龍星を置いて小走りにみんなのところへ追いついた。
「あれ、誰？」
タイミングよく、哉斗が聞いた。
「お前本当に興味ないんやな」
「あの子が例のあゆちゃん」
「ね、僕のほうが可愛くない？」
「何ゆうとるんや。あゆちゃんの方がかわいいに決まっとるやろ。まぁ、恵ならいい線いくかもしれへんけど・・・」
そこで、みんなの視線が私に向いた。
「？」
（なんで私？）
「女の子と比べられて勝ったもクソもないだろ。恵は男だろ」
「そやけど、もしもの話やんか」
謙太の助け舟にまだ十作は食らいつく。話題がそれるのを待つのに、
「俺は男でも構わないけど」
なんて、今度は哉斗が口を挟み、ますますややこしくなった。
「何ちんたら歩いているんだ。恵！時間見て動け」
ややこしい雰囲気もあとから追いついてきた龍星のおかげで吹っ飛んだ。私は龍星に始めて感謝した。
歌の歌詞も間違わない程度に覚えた。
振り付けも覚えたし、隊形の変化もぶつからないようになった。
（歌を歌う時に、立ち位置を移動する）
今日はそれが客観的に見えるからと、この間テレビ局で撮影されたものをみんなで見ることになった。
本番寸前なのでみんな真剣だ。
事務所の会議室に、西野や振り付け担当・デビューのステージプロデューサーやスタッフ全員が集結した。
始まって３０分誰も何も言わない。
もちろん私たちも背筋を伸ばした感じで一緒に見ていた。
自分以外の個人撮りの場面はそれぞれ個性が出ていて、みんな本人より３倍増しにイケメンに見えた。
その中でも龍星はいつもの仏頂面は完全に封印され、私が見てもポッとなるくらいかっこよかった。
でも・・・、
「まあ、おおむね合格ってとこか」
映像を見終わってから、西野が言った。
「このままいくか、構成変えるかは任せる。恵、あとで私のところまで」
その言葉で解散。
（だから、私じゃ最初から無理だったんだってば）
私のインタビューや一人撮りのところは、なんだかぎこちなく自分で見てもかなりまずいと思った。
全体撮りでもみんなの足をひっぱっているのがすごいわかる。
私は解散後励ましてくれるみんなと別れ、西野の部屋へ向かった。
手前の部屋にいる秘書が取り次いでいる間に、深呼吸を３回する。
「どうぞ、中へ」
言い訳をいろいろ考えながらここまで上がってきたが、部屋の中に入った段階ですっかり吹っ飛んだ。
西野はいつも黒系のスーツをきっちり着ているが、今は上着を脱ぎネクタイまではずしていた。
「そこに掛けて」
西野は何かデスクワークの途中で、こちらを見ずに言った。
私は西野のデスクの前にある立派なソファーの隅っこに腰かけて待った。
「まあ、期待はしていなかったけど、君なりに頑張っているっていうところか？」
デスクワークの手を止め、西野がこちらに近づいてきた。
「しかし」
私の前までくると、西野は私の顎に手をかけて顔を上げさせる。
すぐ目の前に西野の顔があり、ドラマでいうキスする一歩手前の体制だった。
「君もプロなのだから、契約まではきちんと演じてもらわなければ」
「わ・わかっています」
「分かればいい」
なぜか、西野はそれだけで私を解放してくれた。
鼓動乱すほどの大音量に、鳴り止まない歓声。
色とりどりのペンライトが揺れ動き、それは大波を想像させた。
東京ドーム、デビューコンサートは１回のコンサート時間９０分を１日に３回行った。
バックステージの巨大スクリーンに、１人１人の顔と名前が映し出され登場する派手な演出だった。
凝った照明のシャワーが自分たちと観客にふりそそぎに、花火や紙吹雪が舞台から飛び出した。
私は今までにコンサートとかライブとか見に行ったことがなかった。それなのに、自分がそのステージに立ち、歌ったり踊ったりしている。
自分が自分じゃなくなってしまうような、そんな違和感があった。
体力は十分あるつもりだったのに、３回目のステージあたりからは、ほとんど記憶がない。
帰りの車の中は、ステージが終わった後のアドレナリン爆発なメンバーと、燃え尽きて動けないメンバーで二つに分かれた。
私はもちろん後者だ。
この辺りから翌日朝までの記憶がない。
それもそのはず、この時には高熱でグロッキーだったのだから。
帰りの車がマンションに着いたときには、私は座席にぐったりともたれ掛かり気を失っていた。
横に座っていた瑞貴も同じ様にぐったりとはしていたが、基本的に男であることによる差なのか車がマンションに着いた頃にはかなり回復していた。
「恵くん。着いたよ。恵くん？ 大丈夫？ アツ ちょっとすごい熱じゃん！」
瑞貴の叫びで、車の中は大騒動になっていた。
一緒に帰りの車に乗っていた雪野はオドオドしているし、十作達は我も我もと私の席まで押し寄せて余計にその場を混乱させていた。
「 俺が 」
十作が後ろから身を乗り出して、腕を掴もうとした。
「僕が支えて行くからいいよ」
十作の手を叩き落として、瑞貴が横から肩を抱くように支えようとした。
「瑞貴～ズルいよ。俺もやる」
哉斗がそれをみてヤキモチを妬いていた。
結局、気絶している私を囲んで腕や肩を引っ張り合いが始まっていた。
「五月蠅い！ドケ」
龍星の怒鳴り声でみんなの手が一斉に引っ込んだ。
「いい、俺が担ぐ。謙太、手伝ってくれ」
「わかった」
龍星が背を向けて屈んだところに、謙太が私を背負わすのを手伝った。車から降り際に頭をぶつけないように、誘導も謙太の役割だった。
２人は意外に息があっている。もともと２人とも他のメンバーの中では頭を使って行動する派だった。
他のメンバーも心配そうに後から続いた。
そんなメンバーには目もくれない龍星だったが、車から数歩歩いたところで急に立ち止まった。
「なんや、重いんか？俺が変わったるやんか」
十作がすかさず言い寄る。
「なんでもないから、うっとうしい。お前らは部屋に戻れ。解散だ」
すこし乱暴な口調でリーダーが命令した。それにみんなが反抗しないわけがない。口々に文句を言い始める。
「龍星くんの言うとおりです。みなさん、部屋にもどってね。もちろん龍星くんも帰すからね。あとの看病は私がやるから。」
「みんな、雪野さんの指示に従おう」
みんなが爆発する手前で制したのは、雪野と謙太だった。もっと何か言いたげだったがみんなは渋々各自の部屋にもどっていた。
