臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
土曜日も鎖骨のあたりにキスされた。

あれはいわゆる“押し倒された”わけなんだけど、ただ驚いただけで、特に嫌悪感も何もなかった。


社長の唇って熱いな……って。

それだけ考えていた。


ぶっちゃけゾクゾクするような、初めての感覚にびっくりして。

あの感覚は、わくわくする事にも似ていたような気もする。


あれ……それってどういう事?


その瞬間、街灯に照らされて社長の顔がハッキリと見える。

どこか、からかうような闇色の視線。

静かに混じり合う吐息。

見つめあっているうちに、どんどんその闇が深く濃くなって……。

だけど、すぐに影になってしまって見えなくなった。

そして……。

「坊っちゃん。いい加減に離れてあげましょうか。西澤さんのマンションに着きましたよ」

小杉さんの言葉が聞こえて、お互いに我に返ったようにパッと離れる。

気がつけばマンションの前に車は停車していた。


「あ、ぁありがとうございました!」

慌ててドアを開けると、返事も待たずに車道に飛び出す。

それから逃げるようにしてマンションのエレベーターに走り込んだ。

追われているわけでもないのに、無闇にパネルの“閉”ボタンを連打して、扉が閉まると素早く7階のボタンを押す。

エレベーターが動き出したのを確認して、無意識にほつれた髪を整えて。


……えーと、今のは何だ?
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