臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
まさか……あんな所でキスされそうになっていた?

いやいや、それはないでしょう?
地味クィーンの西澤美和だよ?
26歳で、オールドミスとか言われちゃう女だよ?

社長なんて美形なんだから、ちょっと声かけたら可愛い女の子がすぐに釣れるって。

ほら、大和撫子だって……。

ああ、あの人が相手なら、キスどころか、既成事実作られちゃって教会の鐘が鳴っちゃいそうだ。

それはそれで社長が可哀想……いや、可哀想もどうだよ。

私は何様なわけ?

何を考えているわけよ。

ちょっと頭が混乱してきてないか、私は。

社長のあれは……単にからかってるだけ、なんだろうな。


エレベーターを降りると、いつも通りバックから鍵を取り出し、部屋の鍵を開けて入る。

慣れ親しんだはずの自分の部屋。

誰もいないから真っ暗な部屋は、何故かよそよそしい。

そう感じてしまって、玄関に立ち尽くした。


しばらくしてから、玄関にゆっくりと座り込む。


うん。絶対にからかわれてるだけ。

私が“無防備”だから、教えてくれているだけ。

今は、一番近くにいる異性が私だけだから、ちょっとからかうついでに忠告してくれているだけ。

がっかりなんてしてない。まして、期待なんてしてない。

だいたい、私はあんなハイスペックな人は望んでない。
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