臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
そう思ったのは一瞬で。すぐに脇をすり抜けようとして掴まってしまった。

なんと社長は軽々と私を持ち上げると、応接セットのソファに座らせて、そして私の前に立つ。


……うわぁ。社長の背中に暗雲が立ち込めているよ。


「あのぅ……」

「孝介には近づくなと言っただろう」

うん。それはサラッと聞いたと思う。
えーと確か“特殊”だから、近づくな……だったかな?

「お前は何か用事があったんじゃないのか?」

いや。実はお誘いを断る単なる口実で、用は無かったんだけど。

それをこの場で言うほど馬鹿じゃない。

「用事が無くなったので、社食に行ったら、詩織がいて……」

「詩織……? 成田か?」

眉を顰める社長にコクコク頷いた。

「はい。詩織と一緒に、何故か飯村さんがいただけで……」

別に約束していたわけじゃない。

言外の意味を理解したのか、社長が頭を抱えてしゃがみ込む。

「あ、あの?」

どうしたどうした?

「……うっわー。俺、馬鹿みたいじゃないか」

「よくわかりませんが、何を話されたんですか?」

「いや。昼が一緒になったらしいって事と、春日井には気をつけろって事だな……あいつもニヤニヤ煽るような言い方していたが」

そう言って社長はチラッと視線を上げる。その目が叱られた子供みたいで……。

何かしょんぼりしていて萌える!

鼻血でそうだよ、鼻血!
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