臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「もちろん、あの工場だけで処理しきれる内容だとは、社長も副社長も思っていなくてね」

「え……? それって?」

どういう意味で?

「つまり、本社の人間も関わっているんじゃないかって疑惑が出てねぇ。そうなると、こちらの動きを悟られる訳にはいかないから、西澤さんが臨時秘書から降りたのは、とてもタイミングが良いと思って」

私はしばらくは野村さんの補佐につく予定ではあったけど……。

「もっとガッツリ関われと言うことですね?」

「そういう事なのさぁ」

ニコニコ微笑む狸オヤジ……もとい、羽柴さんの顔を見て苦笑した。

「大変そうですね?」

「うん。今回、特別ボーナス貰っても怒られないと思うよ? なんなら掛け合おうか?」

……特別なボーナスかぁ。その言葉はあまり聞きたくないなあ。

やんわり笑顔の羽柴さんを眺めつつ、首を傾げた。

「じゃあ、お見合いセッティングお願いします。誰か良さそうな人を紹介してください」

「え!?」

羽柴さんは仰天したように私をまじまじと見て、それから何もつけていない右手を見て、ますます目を丸くする。

「いつの間に!」

「この間の夜です。あ。でも、仕事はちゃんとしますから、そこは安心してください」

「ええぇ〜? なんだろうなぁ。上手く行っていると思ってた。申し訳ないような気がしてきたよ」

項垂れる羽柴さんに思わず笑ってしまう。
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