臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
それからコーヒーを淹れて、トレイにサンドイッチとコーヒーを乗せると社長室をノックした。

呼ばれなければ入ることのない社長室に入ってきた私を、社長は軽い驚きとともに迎えてくれる。

「何だ……」

……と言いかけて、私の手元のトレイを見た。


「……いいって言っただろ?」

眉を顰めた社長を堂々と見下ろしながらきっぱりと首を振る。

「少しでもお腹に淹れておいた方がいいです。ラップに包んでもらいましたから、食べたくなければ残しておいて下さい。私の夕飯にします」

「そんなものが夕飯になるのか?」

「社長の体調管理も秘書の仕事だと思っております」

「いや。一食抜いたくらいで死なない……」

じろりと睨むと、社長はますます眉間にしわを寄せたけど、何も言わずにトントンと指先でデスクを叩いた。


置いて行けと言うつもりらしい。


「常々思うんだが。お前は遠慮がないな」

「ありがとうございます。ですが、私も大概、付き合い良いほうだと思います」

トレイごとデスクに置くと、社長は指先で鼻の頭をかいている。


「それは……否定はしないか」

小さな息を吐いて、私を見上げた。

「お前は小娘のくせに母親みたいだ」

「え。嫌です」

思わずポロリと呟くと、社長は一瞬目を丸くして、それから思わずといったように吹き出した。
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