臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「社長……?」

「だから、隼人だ。そう呼べ」

だから呼べるわけがないから! 本当に何を考えてるんですか!

お互いに笑顔が無くなった途端、会長の到着が告げられて、瞬時に笑顔を張り付けた。

……私も社長も、きっと外面を取り繕うのは得意だよね。

祝賀会の開始が告げられ、執行役の乾杯の後、微かにざわつく立食パーティーの中で役員たちのスピーチから始った。

しばらくしてから社長が呼ばれる。

「副社長の隣を離れるなよ?」

「わかりましたから」

早く行きなよ。心配性だなぁ。

難しい顔のまま離れていった社長を見送り、ホッとしていたら、そっと居なくなった社長の立ち位置に副社長の奥様が立つ。

もしかして……と、逆を向くと副社長が立っていた。

どうしよう。副社長夫妻に挟まれたよ、私。

「美和さんも災難ねぇ」

奥様がそう言って、ニコリと微笑んだ。

「……あ。奥様は存じて……?」

「私の事は麻百合でいいわよ。主人から聞いたわ。本当に……あの子もさっさと結婚してしまえばよいのに」

……会長と同じことを言っているよ。

「でも、まだだよねぇ。隼人はまだ子供っぽい所があるから」

奥様……麻百合さんの言葉に頷きかけて、止めた。

こんな変なことに荷担させられて、気安くさせてもらっていても、私は単なる“秘書”だもの。

ここで頷いたら、下手すると単なる悪口にしかならない。
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