優しい大地とお兄ちゃん





しばらくして、大地は私からゆっくり離れた。

そして、私の顔を覗き込んで聞いてきた。



「・・他にも苦しいこと、あるんじゃない?」


「・・・」


「言って?」


「・・うん」



そう言うと、大地は優しく私の手を取った。


・・大地は優しい。

こんなに私のこと、心配してくれてる・・。



「・・お兄ちゃんが、電話で彼女に、愛してるっ言ってるの聞いて・・」



そこまで言って、涙が頬を伝った。

もう泣きたくないのに、勝手に溢れてくる。



「・・・さくら」


「大地・・私もうお兄ちゃんのこと好きなの、疲れちゃったよ・・私、大地のこと好きになりたい・・」


「・・・」


「・・だけど、私、お兄ちゃんが好きなの・・諦められないの・・・どうしたらお兄ちゃんのこと、諦められるのかな・・?」



そう言って俯いた私に、大地の手が、私の頭を優しく撫でた。


こんな事されたら、涙が止まらないよ・・。



「思いっきり泣け、俺がお前の辛い思い、全部受け止めてやる」



そう言って大地は、私を優しく、自分の胸に引き寄せた。

私は大地の胸の中で、涙が枯れるまで泣いた。

その間、ずっと大地は私の頭を優しく撫でてくれた。



「大地・・・」



しばらくして、落ち着いてから私はそっと口を開いた。



「ん?」


「私、本当に大地のこと、好きになりたい・・・」


「・・ありがとう。でも無理すんな?ゆっくりでいいから、な?」


「うん・・・」



大地は、どこまでも広がる大地のように、果てしなく優しかった。

今までの大地は、ただのクラスのムードメーカーで、こんな一面があるなんて知らなかった。


大地なら、お兄ちゃんのこと忘れさせてくれる・・。

きっと大地なら、私は好きになれる・・。





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