優しい大地とお兄ちゃん
「お兄ちゃん、いつも起こしに来てくれるのに、今日は来てくれなかった。それどころか、今まで日直だからって、先に学校に行くことなんてなかったのに、今日は私が起きる前に学校に行っちゃって、まだ今日は顔も見てない・・」
「・・・」
大地は何も言わなかった。
ただ、私の手を優しく握り直してくれた。
「・・お兄ちゃんに避けられてると思ってショックだった。頭が真っ白になって、大地が迎えに来てくれる事も忘れてた・・ごめんね?大地・・」
そこまで言うと、私は空から大地に視線を移した。
大地はじっと私を見てくれていた。
大地の切ない顔が、私の胸をギュッと締め付けた。
「大地・・そんな顔しないで?大地の事、忘れてたなんて言いたくなかった。心配かけたくなかったの。だから、笑顔作って、気づかれないように頑張ったけど、大地にはやっぱり隠せないね・・」
「さくら・・」
「大地だけだよ。お母さんも、お父さんも、友達も・・誰も私の事なんて気づかないもん・・大地だけが気づいてくれる。ありがとう、大地・・」
そこまで言うと、私は大きく伸びをした。
私は泣いちゃうかと思ったけど、涙なんて出てこなかった。
大地に話して、すっきりした。
今度はちゃんとした笑顔で大地を見た。
「大地、話を聞いてくれて、ありがとう」
「・・・」
大地は何も言わず、私を抱き締めてくれた。
心があったかくなった・・。
私は、目を閉じて、大地の背中に腕を回した。