優しい大地とお兄ちゃん
お父さんと、お母さんは、共働きで、帰ってくるのは、いつも夜の9時をまわってから。
それまで家には、お兄ちゃんと二人っきり。
私はいつも、自分の部屋にこもり、なるべくお兄ちゃんと会わないようにしている。
「さくら、お風呂は?」
お兄ちゃんが、私の部屋のドアを開け、聞いてきた。
「・・後でいい」
「久しぶりに一緒に入るか?」
そう笑顔で聞いてきたお兄ちゃんに、私は近くにあった枕を、お兄ちゃんに投げつけた。
「冗談だよ、怒るなよ」
そう言ってお兄ちゃんは笑った。
人の気も知らないで、そんな冗談言わないでほしい。
「さくら、近くの物を投げつける癖、危ないからやめろよな」
そう言ってお兄ちゃんは、ドアを閉めて隣の部屋に戻っていった。
「・・・お兄ちゃんの、ばか」
私の声は、虚しく部屋に響いた。
一緒の家にいるのに、寂しさだけが増えていく。
隣では、お兄ちゃんが彼女に電話している声が聞こえてくる。
私は枕を抱きしめた。
泣いている声が聞こえないように、枕に顔を押し付けて・・。
「・・・誰か、たすけて・・」
私はそのまま、眠ってしまった。
夜の11時に目を覚ますと、携帯に大地からメールが来ていた。
『明日の朝、迎えに行ってもいいか?』
『・・うん、いいよ』
そう返信して、また胸が苦しくなった。
本当に私、大地と付き合ってるんだ。
大地を苦しめてるんだ・・。
大地は、幸せだって言ってたけど、そんなの嘘だよ。
幸せなはずない・・。