優しい大地とお兄ちゃん





「さくら!おはよう」


「おはよう」



大地は、約束の時間ちょうどに来てくれた。

嬉しそうな顔の大地を見ていると、少し胸がチクっと傷んだ。


学校までの道、大地と手を繋いで登校した。

周りの視線が気になったけど、大地が嬉しそうだったから、私はそのまま手を繋いでいた。


学校につくと、クラスの人たちが、私たちを見て驚いていた。



「俺たち、付き合うことになりました!」



そう言って大地は、繋いでいた手をみんなに見えるように、大きく上にあげた。

私は、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。


大地とは、好きで付き合ってるんじゃない・・。

私は酷いことをしている・・。


罪悪感でいっぱいだった。



「さくら!本当なの?」



仲のいい友達が、私に手招きして聞いてきた。



「うん、本当だよ」


「そっか、さくら宮崎くんが好きだったんだ・・気づかなかったー・・・」



そう言って、千佳ちゃんは、自分のおでこを軽く叩いた。


その言葉に、胸が締め付けられた。

私は、必死で笑顔を取り繕った。


・・気づかなかったのも無理ないよ。

私、大地のこと好きじゃない・・。

私が好きなのは、お兄ちゃん・・。



「でも、おめでとう!」


「うん、ありがとう」



笑顔で言ったけど、心は苦しかった。

誰かに気づかれるんじゃないかと、手に汗握った。





< 9 / 32 >

この作品をシェア

pagetop