失恋した直後のラインは甘い囁き
休日の水族館は混んでいた。


私達ははぐれないように手を繋いだ。


ペンギンやイルカを見て楽しかった。


あと優越感にも浸れた。


だって智也はカッコいいから女の視線を集めた。


本当にどうして智也は私と付き合ってるんだろう?


と不思議に思った。


それを聞くと、


「理央こそ、こんなに時間の取れない男と付き合ってて嫌にならない?」


と逆に聞き返された。


「智也と過ごす時間は少ないけど、手が空くと必ずラインくれるでしょ?


 大事にされてるんだって感じてる」


と私は答えた。


「そうか、やっぱり理央は今までの女とは違うな」


と言って私の頭をポンポンした。


「今までの女って何?」


と私は聞き捨てならないと智也を睨んだ。


そんな私を見て、


「理央が一番だよ」


と智也は笑顔で答えた。


私は智也の笑顔に弱い。


包み込むような優しい笑顔。
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